てんびん座は古くから知られており、ギリシア神話やローマ神話などにも登場してきます。
しかし、なぜ、「天秤」という名前が付けられたのでしょう。
この星座を眺めることで、何かご利益が得られるのでしょうか。
今回は、そんな、てんびん座について、いろいろとお教えいたします。
てんびん座の見つけ方
てんびん座を見つけるには、まずは、さそり座を探しましょう。
さそり座が見つかったら、さそりの頭の部分に注目してください。
その西側に、てんびん座がありますよ。
てんびん座は、さそり座の近くにあるので、さそりのハサミと考えられていた時代もありました。てんびん座を構成する星に「北の爪」「南の爪」の意味を持つ名前が付けられているのは、そのためです。
そんな、てんびん座が、さそり座から独立するようになったのは、秋分の日と関係があります。
昼夜の長さが等しくなる秋分の時期に、太陽はてんびん座にかかります。
そのため、てんびん座が、昼夜の長さを等しくわける「時をはかる天秤」と考えられ、天秤のイメージが星座に投影されるようになったのです。
現在の秋分点は、おとめ座にありますが、かつての秋分点は、てんびん座に位置していました。
てんびん座にまつわる神話
てんびん座に投影されているのは、人間の善悪を裁く正義の女神アストレアが、左手にたずさえている天秤です。
アストレアが持つ天秤は、死者の魂をはかり、悪に傾いたものを冥界におくる道具でした。
太古の昔、人間は神々と一緒に暮らし、争いもなく、平和な日々が続いていました。
なので、アストレアの天秤は善の皿が傾くばかりで、悪に傾く魂はありませんでした。
しかし、パンドラの箱の蓋が開いてしまったため、そこに閉じ込められていたあらゆる災厄が箱から飛び出して、世界は大混乱になってしまいます。
地上では人々が争い始め、平和が乱されるようになってしまいました。こうなると、アストレアは大忙しです。天秤を持って走りまわり、人々の善悪をはからなければなりません。
地上にいた神々は、人間が争う様子を見て、一緒に暮らしていられないと、天上の世界へと帰ってしまいます。しかし、アストレアは地上にとどまり、人間に善行をすすめ、悪を改めるように諭し続けました。
しかし、そんなアストレアの言葉を無視して、人間は戦争を続け、アストレアの天秤は悪に傾くばかり……。とうとう、アストレアも、そんな人間を見限り、天上の世界へと帰ってしまいました。
天上に帰ったアストレアの残した天秤が、夜空に見えるてんびん座なのです。
平和を祈りましょう
てんびん座には、人間世界の平和に尽力し続けたアストレアの神話が投影されています。
てんびん座を眺めることで、非常に古い時代からてんびん座に投影されてきた、平和を願う人々の思いに触れることができますよ。
自分の心の中、あるいは、自分を取り巻く環境、さらには、もっと大きな世界の平和を求めたいときは、てんびん座に平和への思いを向けてみるといいですよ。
平穏を呼ぶエネルギーが、宇宙から得られますよ。