「夢」……それは最も身近な神秘世界への扉

スピリチュアル
 夢って何でしょう?

 文字通り「夢のない」言い方をすれば、それは単なる睡眠中に見たり感じたりする、あたかも現実の経験であるかのような一連のイメージ、ということになります。

 現代の研究によれば、覚えているかどうかは別にして、ほとんどの人が一晩に複数回、こうした睡眠中のイメージを見ている、ということが分かっています。

 しかし、最新の科学でも根本的なこと……つまり 「どうして夢を見るのか?」ということは、未だ解き明かされていません。

 大脳生理学、神経学、深層心理学など様々な分野からの理論も展開されてはいますが、どれもまだ仮説の域を出ないという状態です。

 つまり不思議な現象である夢は、それ自体がまだ巨大な不思議……いいえ、神秘の塊なのです!

 かつての西欧文明圏では、夢は神のお告げか悪魔の誘惑だ、とする説が有力でした。
 おそらくはキリスト教などの一神教に代表される、物事を善と悪の二元論で分けて考える精神世界が背景にあったのでしょう。
 聖書では多くの預言者が、夢を通して神から民族の危機や帝国の滅亡といったお告げを受け取っています。

 また、婚約者マリアが妊娠していることを知ってショックを受けているヨセフの夢には、天使が出現してお腹の子は神の子であるイエス・キリストだと告げて安心させるのです。

 そこからは、夢という特殊な次元が、人と神や天使のコミュニケーション用空間と考えられてきた様子が推測できるのです。

 その一方、アニミズムや汎神論が優勢だった東洋文化圏では、 夢はもっと曖昧模糊とした神秘現象の乗り物としてとらえられていました。

 例えば、古代日本の民間伝承には、遠く離れていても同じ夜にお互いの夢を見た夫婦には、現実的に子供が授かっている、といった逸話が挿入されていますし、唐の時代の有名な小説『邯鄲の枕』では、一時のうたた寝で見た夢から人生の栄枯盛衰を悟る、という哲学的な体験が語られています。

 しかし、世界には、夢をもっと現実的なアドバイスとしてとらえた時代や民族も存在しています。次はそうした事例をお話ししていきましょう。

 
ヘイズ 中村
病弱な幼少時代を多くの書籍を友に過ごし、神秘世界へのあこがれを募らせるようになる。中学生頃から本格的に西洋密儀思想の研究を開始、成人してからは複数の欧米魔術団体に参入し、学習と修行の道に入る。メディアを通じて伝わるギャップに嫌気がさし、現在はメディア出演NGながら、魔女・占い師として、様々な魔術書や占い書の翻訳と執筆を主な活動とし、現在も第一線で活躍する日本魔女界の重鎮にして、日本屈指の占術家。

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