夢のお告げ
今回は、昔の日本人がどうやって夢でお告げを得ていたかという話をしてみましょう。
平安時代から鎌倉・室町時代にかけて多くの人がお参りに行った寺に、石山寺・長谷寺・清水寺の3つがあります。
人々はこれらのお寺に行き、お参りをするのはもちろんですが、寺で眠り、そこで夢を見て、仏様のお告げをもらうという目的もあったといわれます。
これを夢告(むごう)といいます。石山寺に現存する「石山寺縁起絵巻」という文化財には、この夢告の様子が描かれています。
僧侶や一般庶民たちが、本堂の周囲にはりめぐらされた板に敷物をしき、そこでウトウトと眠りながら、観音様のお告げを待っているのです。
また、「今昔物語」という古典作品には、長谷観音の夢のお告げを信じて行動した結果、藁(わら)しべ1本から長者にのしあがった男の物語が記されています。
このほか、平安時代の文学作品には、依頼を受けて夢を見る「夢見法師」という職業があったということ記述も見られます。
いずれも、昔の日本人にとって、夢というものがいかに大切であったかを示すエピソードです。
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