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ユング7



今回は、ユングが提唱したアーキタイプ(元型)のひとつ、「トリックスター」について説明しましょう。

このトリックスターは、しばしば道化師などの姿をとって、私たちの夢の中に登場するといわれます。

そして、悪意に満ちた冗談や、たちの悪いいたずらなどで、私たちが隠しておきたかったことをあばきたてて、私たちを困らせ、当惑させるのが常です。

ただ、それは必ずしも悪いことではありません。なぜならトリックスターがもたらす意地の悪い笑いは、右にも左にも動かなくなってしまった状況に、風穴をあけてくれるものでもあるからです。

「裸の王様」という物語を知っていますか? あの物語の最後に、「なんだ、王様は裸じゃないか!」と、真実をあばきたてる少年が登場します。

彼というトリックスターが登場しなければ、王様も家来たちも、いつまでも偽りの世界に暮らし続けるしかなかったでしょう。このようにトリックスターは、凝り固まった現状を大きく改革する力を備えた存在ともいえるのです。