天才の妻は悪妻?

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 4月27日は「悪妻の日」に制定されています。

 でも、なぜ、その日が「悪妻の日」に?

 今回は、「悪妻を持てば哲学者になれる」の格言の意味も含め、「悪妻の日」に関する、いろいろなウンチクをお教えいたします。


「悪妻の日」制定の理由


 4月27日は、古代ギリシャの哲学者ソクラテスが亡くなった日といわれています。紀元前399年のことでした。

 偉大な哲学者として知られていたソクラテスですが、当時の権力者から煙たがられ、不条理な罪状で、死刑の判決を受けてしまいました。弟子たちは、逃走の手配をするものの、ソクラテスはそのような不正を拒み、判決通りに死を選びます。

 このソクラテスの妻は感情の起伏が激しく、日々、ソクラテスに悪態をついたり、ソクラテスへの暴力行為をしたり……。モラハラやドメスティック・バイオレンス(DV)の常習者として、ソクラテスを崇拝する人から反感を持たれていました。

 ソクラテスの命日である4月27日は「哲学の日」と呼ばれていますが、偉大なソクラテスを苦しめた悪妻への反感の念が、同時に「悪妻の日」を誕生させることにもなったのです。


世界三大「悪妻」とは


 歴史に残る悪妻として知られているのは、ソクラテスの妻の他に、モーツァルトとトルストイの妻です。この3人が、世界三大「悪妻」と呼ばれています。

 大作曲家モーツァルトの妻は、大変な浪費家でした。彼女の出費のしわ寄せがモーツァルトに向かい、彼の早死の原因を作ったともいわれています。

 モーツァルトの葬儀はいい加減なもので、ろくに葬式もせずに共同墓地に遺体を葬ったため、現在も、モーツァルトの遺体が見つかっていません。

 さらに、彼女はモーツァルトの直筆譜を売りさばいて巨万の富を成したうえ、外交官と再婚して優雅な生活を送り、モーツァルトの父の墓所を乗っ取っては、そこに再婚相手と自分の墓を立てるなどの悪辣なエピソードが残っています。

 ロシアの文豪のトルストイの妻は、ソクラテスの妻と同じように口うるさく、トルストイを精神的に追い詰め、たえられなくなったトルストイは家を出て、そのまま駅舎で亡くなってしまいました。

 「偉大な人物を、なぜ、もっとサポートしてあげなかったのか」という反感が、これら3名を、歴史的な「三大悪妻」に祭り上げることになったのです。


違いを楽しみましょう


 ソクラテス、モーツァルト、トルストイは、「人類の財産」ともいえる偉大な業績を残しました。

 その意味では偉人ですが、1人の人間として見ると、相当な「変人」でした。一般の人とは感性が大きく違っていたからです。

 そんな特異な感性なので、まわりの人をギョッとさせるような言動をする、極めて個性的な女性に魅力を感じてしまうのは仕方がないことなのかもしれません。

 その証拠に、ソクラテス、モーツァルト、トルストイは、世間から「悪妻」と言われる妻を、とても愛していました。弟子がソクラテスの妻をなじっても、ソクラテスはいつも妻をかばっていました。彼らすべて、妻と離縁することはなく、むしろ、自分とは異質な、世間的にも特異な個性を持った女性との振幅の大きい刺激的な生活を楽しんでいたともいえますよ。

 そのことを一番よく表しているのが、次のソクラテスの言葉です。

 「君が良い妻を持てば幸福になるだろうし、悪い妻を持てば哲学者になれる」

 「悪い妻」とは、自分とは性格や趣味・嗜好が大きくかけ離れている妻という意味なのでしょう。そんなパートナーと一緒に過ごし、慈愛の念を持って接することで、世の中の見方が一層深まる。それすなわち「哲学者への道」。ソクラテスが言いたいのは、このようなことなのでしょう。

 性格的にも、趣味や嗜好の点においても、完全に一致する夫婦というのはありません。必ず違いが表面化してきます。

 この違いを楽しめるか、争いのタネにしてしまうかが問題です。こんなときは、ソクラテスにならって、慈愛の念を持ち、双方の違いを認め合いながら、違いを楽しみ、夫婦生活を送ってみた方が吉かもしれません。

 「悪妻の日」は、そんなことを意識して過ごしてみましょう。パートナーとの絆が、より深まるかも。



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