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夢殿の話



奈良県の法隆寺に、夢殿という建築物があります(きっとご存じだと思いますが)。

これは聖徳太子が建てたといわれるもので、八角形の不思議な形をしています。

この夢殿で、聖徳太子は何をしていたのでしょうか?

実は、ご想像のとおり、太子はこの建物に入って夢を見ていたといわれています。

事実、太子の業績や人生を伝える書物には、太子が夢占いをするために夢殿に入ったという記述があります。

夢・・・もしくは瞑想のようなものであったかもしれません。

聖徳太子といえば、推古天皇の摂政として、古代日本の国政を動かした人物として知られています。

古来、このように国家を指導する立場にある人物の夢は、重要視されました。

たとえば古代の日本では、天皇が夢のお告げを得るために、身を清めて眠るといった儀式すら存在していたのです。

もともと政治とは「まつりごと」を意味する言葉ですが 、古い時代には、このまつりごとは神を「まつる」ことでもあったのです。

時代が下るにしたがって、このふたつは分離していくのですが……。

ともあれ、夢は神仏とつながりをもち、国家を正しい道へと導くための重要なアイテムだったというわけです。


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