元日と元旦って意味が違うんです。ご存知でしたか?おせち料理のひとつひとつにどんな意味があるかは? お屠蘇ってただのお酒じゃないんですよ。
実は知らないお正月の常識。あなたはどれだけご存知でしょうか。
◎元日と元旦
元日と元旦の違いをご存じでしょうか?
元日というのは、1年の最初の日のことです。いっぽう元旦とは、元日の朝のことをいいます。
「旦」という字をよく見てください。この字の下にある「一」は地平線または水平線を、その上にある「日」は太陽を表します。つまり、地平線または水平線の上に太陽が昇った瞬間を意味する字なのです。
なお、年賀状にしばしば「一月元旦」あるいは「一月元日」という記載が見られますが、この言葉使いは正しくありません。「元旦」「元日」には「1年の最初」という意味がすでに含まれていますから、「一月」は不要です。
◎初詣
初詣はもともと、氏神様にお参りするか、ないしは、恵方参りといって、その年の恵方にある寺社に詣でるものでした。しかし近年では、氏神様や恵方とは関係なく、有名な寺社にお参りする人が増えています。
初詣のときは、拝殿でお参りをすませたあと、お守りや破魔矢を買ったり、おみくじを引いたりして、その年がよい年であることを祈ります。
また、前年のお守りやお札などは、このときに寺社に納めてお焚きあげをしてもらいます。
なお、初詣に来る人が多いことで知られる寺社は、明治神宮、成田山新勝寺、川崎大師、伏見稲荷大社、熱田神宮、住吉大社などです。
◎若水
元日の朝、最初に汲む水を「若水(わかみず)」といいます。かつて宮中では、その年の恵方にある井戸から汲んだ若水を、天皇にさしあげるというしきたりがありました。
若水には神聖な力が宿り、これを飲むと生命力がみなぎり、厄除けにも効果があるとされています。汲んできた若水はまず神仏にお供えし、そのお下がりで家族の食事をつくったり、お茶をいれたりします。
若水を沸かしていれたお茶を「福茶」といい、これを飲むと邪気を祓うことができるといわれます。
もともと若水は清冽な谷川や井戸で汲むものでしたから、水道が普及するようになってから、風習自体がすたれていきましたが、今でも伝統を重んじる料亭などでは、若水汲みを行っています。
◎おせち料理
「おせち料理」といえば、お正月料理の代名詞のようになっていますが、漢字で書くと「御節料理」で、もともとは節句につくられるお料理全般のことをいいました。しかし現在では、お正月を祝う料理をさすようになっています。
おせち料理はもともと、正月三が日は台所で煮炊きをしないことを目的としていました。
これは、その年の歳神様をお迎えしたばかりの台所を騒がせて、神様の怒りを買わないようにするため、といわれていますが、三が日くらいは女性に家事を休んでもらうという、実質的な意味もあります。
◎おせち料理の意味あれこれ
おせち料理の品目には、それぞれ意味があります。ご存じの方も多いと思いますが、ちょっとご紹介しましょう。
田作り=カタクチイワシの稚魚を飴炊きにしたものです。イワシが田畑の肥料であったことから、豊作への願いが込められています。
数の子=卵の数が多いことから、子孫繁栄を願って。
黒豆=まめ(健康で勤勉)に暮らせるように、との意味で。
栗きんとん=きんとんは「金団」と書き、黄金のダンゴという意味。栗の黄金のような色とあいまって、金運を願う一品となりました。
昆布巻き=語呂あわせで「よろこぶ」に通じることから。
なお、おせち料理を重箱に詰めて重ねるのは、めでたさを重ねるという意味が込められています。
◎屠蘇(とそ)
屠蘇とは、正月を迎え、家族一同が一年の健康を願っていただく薬酒のことで、「お屠蘇」などともいいます。
このお屠蘇は、ビャクジュツ、サンショウ、ケイヒ、チンピをはじめとする数種類の生薬(しょうやく)を配合した「屠蘇散(とそさん)」を、清酒や味醂(みりん)に漬け込んで作ります。
屠蘇を飲む習慣は、もともと中国の唐で始まり、平安時代ごろに日本へ伝来したといわれています。
現在でも西日本を中心に、この風習が残ってはいるものの、多くの地域では、お正月に飲むごく普通の日本酒のことを「お屠蘇」と呼ぶことが多いようです。
なお、屠蘇という言葉の由来は、「蘇と称する悪鬼を屠る(ほふる)」から来ているという説があり、
これを飲めば邪気が祓われるとされます。
ちなみに屠蘇散は、年末が近づくと、漢方薬局あるいはインターネットなどで手に入れることができます。