人間と同じように犬や猫も夢を見ます。
犬や猫と暮している方なら、眠っているときに、まるで走っているかのようにピクピクと手足を動かしたり、口をもぐもぐさせたり、ときには寝言で鳴いたりするのを見たことがあるでしょう。
睡眠研究の分野では、猫が眠りながら獲物に飛びかかろうとする、夢幻様行動の実験が知られています。
さすがに夢の中で見ている光景まで見ることはできませんが、そのとき猫はきっと、ネズミに飛びかかろうとしていたのでしょう。
猫が睡眠研究の実験に適している理由は、どの猫も頭の大きさがほぼ同じだからだそうです。
猫にもネズミにも、レム睡眠とノンレム睡眠があり、一般的に体の大きな動物ほど、続けて長い時間眠り、ネズミのように小さな動物は眠っている間に体温が低下しやすいため、頻繁に覚醒と眠りをくりかえします。
リズムや時間は違っても、生き物は必ず眠ります。
変わった眠り方をする動物に、鯨やイルカがいます。鯨やイルカは、ほ乳類ですから、魚のように水中で呼吸はできません。
眠っているときでも、ときどきは水面に出てきて空気を吸わなければなりません。水の中で完全に熟睡したらおぼれてしまいます。
だから、脳の半分ずつ眠るのです。左脳が眠っているときは右目が閉じていて、右脳が眠っているときは左目が閉じています。そして筋肉の力が完全に抜けてしまうレム睡眠はありません。
人間の場合はレム睡眠中の夢は夢想的で感情的、ノンレム睡眠中の夢は日常的で思考的、さらに友好的であることが多いとされています。
脳の半分でノンレム睡眠中の鯨やイルカは、どんな夢を見ているのでしょうか。
海の中で片目を閉じて、半分の意識で、泳いで呼吸して、となりを泳ぐ仲間と鳴き交わしながら、もう一方の脳の半分では過去や未来のさまざまな夢の光景を見ていたりするのでしょうか。
イルカが友好的であるとされる理由も、もしかしたら毎夜見る夢の内容にも関係あるのかもしれません。
高橋 桐矢
幼少よりファンタジックな空想世界を好み、創作の道を志す。独学でタロット占いと西洋占星術を習得。のちにヘイズ中村氏に師事し、20世紀最大の魔術師クロウリーの魔術を学ぶ。占い師として活動しつつ、小説を書き、2000年、SF小説で小松左京賞努力賞受賞。著書に『占い師入門』『秘密のジオマンシー占い』『イジメ・サバイバル あたしたちの居場所』など。日本児童文学者協会会員。
他にも気になる夢を見たときは、夢辞典で検索してみてくださいね。