いて座は、「天の川」が一番濃く、幅広く見えるあたりに広がっている星座です。なので、見ていて楽しいですよ。
そのためなのか、非常に古い時代から、いて座の星の並びは注目され、いろいろなストーリーが重ねられてきました。
今回は、そんな、いて座について、いろいろとお教えいたします。
いて座の探し方
いて座を見つけたかったら、まずは、さそり座を探してみましょう。
さそり座の目印となるのは、赤くて明るく輝く1等星のアンタレスです。このアンタレスを挟んで「S」字のような形で星が並んでいるのが、さそり座です。
このさそり座のすぐ東隣に、小さなひしゃくのような形をした6つの星が目につくはず。
これは「南斗六星」と呼ばれ、ここにいくつかの星が組み合わされ、いて座の全体像となります。
あらかじめ、星座図などを参考に、いて座のイメージを頭に入れておくと、南斗六星をもとに、いて座全体の姿をたどりやすくなりますよ。
いて座の神話
「いて」とは「射手」、つまり、「弓矢を射る人」のことです。
いて座は、上半身が人間、下半身が馬という姿をしており、弓矢で隣の「さそり座」をねらっているというのが一般的イメージです。
弓を構えた半人半馬のいて座のイメージは、今から五千年以上前の古代人のイメージともいわれ、いて座にまつわる神話も、そんな半人半馬の賢者が登場します。この賢者の名前は、ケイローン。
ケイローンは、上半身が人で下半身が馬の姿をしたケンタウルスの一族です。ケンタウルスは粗暴な一族といわれていますが、ケイローンだけは別。
ケイローンは、太陽の神から医学・音楽・占いを学び、月の神からは武術・狩猟を学ぶなど、あらゆる学術に長けた存在でした。その知識の豊富さに、あらゆる種族の人々が、ケイローンに教えを乞うほどだったといいます。
ギリシャ神話の英雄ヘルクレスも、ケイローンに学んだ一人でした。しかし、ヘルクレスは酒に酔った勢いで、ケイローンに向け、誤って矢を放ってしまいます。その矢が、ケイローンの膝を射抜いてしまったのでした。
矢には、猛毒が塗られていたため、ケイローンはひどく苦しみます。しかし、不死身であったため、苦しみの中、死ぬことができません。とうとう、ケイローンは大神ゼウスに願い、不死の身をといてもらい、安らかな死を迎えました。
その後、ゼウスは、ケイローンの才能を惜しみ、夜空に上げて、輝ける星座にしたというわけなのです。
天の川を堪能しましょう
私たちが属している太陽系は、約2000億個の星から成り立っているといわれる銀河系に属しています。
地上から銀河系を観察すると、銀河系に属するほとんどの恒星は遠すぎ、星として見分けることができずに、夜空を横切るように存在する「雲状の光の帯」として見えます。これが「天の川」です。
いて座の方向に、銀河系の中心があります。
つまり、いて座を眺めることで、たくさんの星が集まった、天の川の一番明るい部分を眺めることになるのです。
いて座の向こうに、たくさんの星や星雲、星団などがあるため、いて座の背景は豪華絢爛で、眺めていても飽きることがありません。
双眼鏡や小型の望遠鏡などで眺めると、実に美しい銀河の光景を楽しむことができますよ。
みなさんも、いて座、そして、背景にある銀河系(天の川)を眺めながら、宇宙のきらびやかなイルミネーションの世界に浸ってみてはいかがでしょう。
こうして、銀河の星々にゆったりと親しんでいると、宇宙からのパワーを自然に吸収することができ、運気アップにもつながりますよ。