「腸活」が注目されています。
「腸活」、つまり、「腸を元気にする」ことで、心身に良い影響がいろいろと出るからです。
しかし……、腸を健康状態に保つと、体だけでなく、なぜ、心にまで影響が及ぶのでしょう。
今回は、そうしたウンチクも含めて、腸活について、いろいろお教えいたします。
腸は第1の脳
クラゲやイソギンチャクのような生き物には、腸はありますが、脳がありません。しかし、自分の意思を持ち、体を動かしています。
これは、腸が、脳の機能を果たしているからです。
生物の進化において、最初に腸が発達し、腸のまわりに神経系ができました。その後、進化の階段をのぼるうちに、生物は脳という器官を持つようになるのです。
実は、私たちも、お母さんのお腹の中で最初に形作られるのが腸。そこから、胃や食道などが1本の消化管として形づくられていきます。そして、その後にできあがるのが脳。人間も進化の階段をたどるように、体が作られていくというわけなのです。
私たちの腸にも、多くの神経細胞が集まっていることから、腸は「第2の脳」と呼ばれることがあります。
でも、進化の過程を考えると、腸こそ「第1の脳」であり、私たちが「脳」と呼んでいる器官は、腸に続く「第2の脳」と呼ぶべき部位なのです。
心と腸の結びつき
生物にとって、腸が最初に形作られる「中枢神経」、すなわち、「脳」と呼べる部位なので、腸を健康にすることで、体だけでなく、心にも良い影響が及ぶのは当然といえます。
「腹が立つ」「腹の虫がおさまらない」「腹をくくる」「腹を割って話す」「腹黒い」など、心と腹(腸)を結びつけた言葉がたくさんあるのは、
腸が「第1の脳」であることを、昔の日本人がよく知っていたからです。
緊張を強いられる場面でお腹が痛くなったり、下痢をしたり、さらに、便秘になると、イライラが高まったり、不眠になったり……と、腸の異常と自律神経の不調は密接に結びついています。「腸は心の鏡」であり「心は腸の鏡」でもあるといわれるのは、このためです。
「腸活」の意義は、ここにありますよ。
腸を健康にしておくと、心も健康になるのです。
腸活には
5月15日は「ヨーグルトの日」です。ヨーグルトの効用を世界に広めたロシアの学者イリヤ・メチニコフ博士の誕生日にちなんで制定されました。
腸を健康にするには、腸内細菌のバランスを整えることが大事です。腸の中の善玉菌が、悪玉菌よりも、ほどよい割合で多くなるようにしなければなりません。
ヨーグルト、納豆、麹のような、乳酸菌やビフィズス菌などを含む食物は善玉菌の応援隊になります。
また、野菜類・果物・海藻・豆類・穀物などに多く含まれる食物繊維やオリゴ糖は、善玉菌の餌になるので、食べると、腸の善玉菌が活発になりますよ。
心と腸の強い結びつきを知っていた日本人は、発酵食品を多く摂取し、穀物や野菜中心の食事を続けてきました。経験的に腸が元気になる食べ物を知っていたのでしょう。
そんな和食には、「腸活」を応援する成分が豊富に含まれていますよ。
「腸活」という言葉は初耳という人も、腸活に役立つヨーグルトの記念日をきっかけとして、腸の健康について、あれこれ考えてみるといいですよ。
そして、心と腸の結びつきを熟知していた日本人の叡智の結晶である「和食」の素晴らしい効用にも目を向けてみるのをおすすめします。
以上の情報を、あなたの「腸活」に役立ててくださいね。